つくづくと思へばやすき世の中を
心と嘆く我が身なりけり
- 歌の意味
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よくよく考えてみれば、たやすく過ごせる世の中なのに、自分の心から嘆いているわが身なのだった。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1774
詞書は前の歌に続き「題しらず」
世を厭いながら捨てきれない心を詠む歌の十首目で、その最後の歌である。よく考えれば世の中はたやすいものなのに、自分の心から嘆きを作っているのだった、と詠む。世のつらさは世そのものではなく自らの心にあると気づき、前の歌々の嘆きを省みる形で結んでいる。
作者の「荒木田長延」は、伊勢神宮に仕えた荒木田氏の人である。
初句「つくづくと」は、よくよく、しみじみと、の意である。
二句「思へばやすき」は、考えてみればたやすい、の意である。「ば」は已然形に付く順接確定条件である。
三句「世の中を」は、そのようなたやすい世の中を、の意である。「を」は逆接的に下へ続く。
四句「心と嘆く」の「心と」は、自分の心から、自ら進んで、の意である。嘆きの原因が世ではなく心にあることを示す。
結句「我が身なりけり」の「けり」は、気づきを表す詠嘆の助動詞である。前の歌々が世のつらさを嘆いたのに対し、嘆きを生むのは自分の心だと思い至り、一群を締めくくっている。
つくづく:よくよく。しみじみと
- 作者
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荒木田長延
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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さりともと頼む心の行く末も 思へば知らぬ世にまかすらむ
- 次の歌
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川舟の上りわづらふ綱手縄 くるしくてのみ世をわたるかな