老いらくの月日はいとどはやせ川
返らぬ波に濡るる袖かな
- 歌の意味
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年老いてからの月日はいっそう早く過ぎ、早瀬川の流れのようだ。二度と返らない波に、涙で濡れる袖であることよ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1776
詞書「題しらず」
川の流れに寄せて身を嘆く歌の二首目である。老いてからの月日はいっそう早く、早瀬川のように過ぎてゆき、二度と返らない波に袖が濡れる、と詠む。過ぎ去って戻らない歳月を、速い川の流れと返らぬ波にたとえて嘆いている。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「大僧都覚弁」は、平安末期から鎌倉初期の僧で、大僧都に至った。
初句「老いらくの」は、年老いてからの、の意である。
二句「月日はいとど」は、月日はいっそう、の意である。「いとど」が、若い頃にもまして、という心を添える。
三句「はやせ川」の「はや」は、月日が早い意と、流れの速い早瀬川の意とを掛ける掛詞である。前歌の川舟を受け、川の流れに寄せる歌が続く。
四句「返らぬ波に」は、二度と返ってこない波に、の意である。過ぎ去って戻らない月日をたとえる。
結句「濡るる袖かな」は、波と涙とに濡れる袖をいう。「かな」は詠嘆の終助詞で、老いの嘆きを涙に濡れる袖で示している。
おいらく:年老いること。老年
はやせがは:流れの速い川。「はや」に月日の早い意を掛ける
- 作者
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覚弁
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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川舟の上りわづらふ綱手縄 くるしくてのみ世をわたるかな
- 次の歌
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書き流す言の葉をだに沈むなよ 身こそかくても山川の水