同じくはあれないにしへ思ひ出の
なければとても偲ばずもなし
- 歌の意味
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同じことなら、昔の思い出があってほしい。思い出がないからといって、昔を偲ばないわけでもないのだから。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1779
詞書「題しらず」
昔を偲ぶ歌である。同じことなら昔の思い出があってほしい、思い出がないといっても昔を偲ばないわけではないのだから、と詠む。取り立てて思い出すこともない身でも昔は恋しいと述べ、せめて偲ぶよすがを望む心を詠んでいる。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「源季景」は、経歴の詳しく伝わらない人物である。
初句「同じくは」は、同じことなら、どうせなら、の意である。
二句「あれないにしへ」は、あってほしい、昔の、の意である。「あれな」は「あり」の命令形に詠嘆の終助詞「な」が付いたもので、願望を表し、ここで句切れとなる。
三句「思ひ出の」は、思い出が、の意である。二句の「いにしへ」と結んで、昔の思い出をいう。
四句「なければとても」は、ないからといって、の意である。
結句「偲ばずもなし」は、偲ばないわけでもない、の意である。二重の打消で、思い出のない身にも昔を慕う心があることを示し、前歌の失われた望みへの嘆きに続いて昔への思いが詠まれる。
おもひいで:思い出。記憶に残る事柄
しのぶ:懐かしく思い慕う
- 作者
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源季景
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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見ればまづいとど涙ぞもろかづら いかに契りてかけ離れけむ
- 次の歌
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いづくにも住まれずはただ住まであらむ 柴の庵のしばしなる世に