いづくにも住まれずはただ住まであらむ
柴の庵のしばしなる世に
- 歌の意味
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どこにも住みつくことができないのなら、ただ住まないままでいよう。柴の庵のように仮そめの、しばしの間の世なのだから。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1780
詞書「題しらず」
無常の世に寄せて身の置き所を詠む歌で、西行の歌二首の一首目である。どこにも住みつけないのなら、ただ住まずにいよう、柴の庵のように仮そめの、しばしの世なのだから、と詠む。定住を求めず、漂泊のままに生きようとする西行の心が表れている。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「西行法師」は、俗名を佐藤義清といい、鳥羽院に北面の武士として仕えたが、若くして出家した。諸国を旅して歌を詠み、家集に『山家集』がある。
初句「いづくにも」は、どこにも、の意である。
二句「住まれずはただ」は、住むことができないのなら、ただ、の意である。「れ」は可能の助動詞「る」の未然形、「ずは」は打消の仮定を表す。
三句「住まであらむ」は、住まないままでいよう、の意である。六音の字余りで、「住む」の語を重ねて決意を示し、ここで句切れとなる。
四句「柴の庵の」は、柴で編んだ粗末な庵である。同音の「しばし」を導く。
結句「しばしなる世に」は、しばしの間の、仮そめの世に、の意である。「柴」と「しばし」との音の響きで、仮住まいの庵とはかない世とを重ね、倒置によって住まずにいようとする理由を示している。
しばのいほり:柴で作った粗末な小屋
しばし:少しの間
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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同じくはあれないにしへ思ひ出の なければとても偲ばずもなし
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月の行く山に心を送り入れて 闇なる後の身をいかにせむ