憂き世出でしつきひの影のめぐり来て
変はらぬ道をまた照らすらむ
- 歌の意味
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あなたがつらい世を出た月日が、月と日の光のようにめぐって来て、変わらずに歩むその道を、また照らしていることだろう。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1784
詞書「西行法師山里よりまかり出でて、昔出家し侍りしその月日にあたりて侍る、と申したりける返事に」
月に寄せて心を詠む歌の四首目で、慈円の歌三首の三首目である。つらい世を出た日が、月と日の光のようにめぐって来て、変わらず歩むあなたの仏道をまた照らしているだろう、と詠む。詞書によれば、西行が山里から出て来て、今日は昔出家したその月日にあたると言ってよこしたのに返した歌で、西行の出家の記念日をたたえている。
作者の「前大僧正慈円」は、藤原忠通の子で、九条兼実の弟にあたる。天台座主を四度務め、史論書『愚管抄』を著した。原文に作者名はなく、前歌から続く。
初句「憂き世出でし」は、つらい世を出た、すなわち出家した、の意である。六音の字余りで、西行の出家を指す。
二句「つきひの影の」の「つきひ」は、出家した日付の意と、空の月と日の意とを掛ける掛詞である。「影」は光のことである。
三句「めぐり来て」は、めぐって来て、の意である。出家の日が一年をめぐって再び来たことと、月日の運行とを重ねている。
四句「変はらぬ道を」は、出家以来変わらずに歩む仏道をいう。
結句「また照らすらむ」の「らむ」は現在推量の助動詞である。月と日の光が道を照らすさまに、西行の仏道の確かさをたたえる心を込めている。前の二首の月を受け、月の光が道を照らす歌となっている。
つきひ:日付の意と、月と日の意を掛ける
かげ:光
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
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いかにして今まで世にはありあけの つきせぬものを厭ふ心は
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人知れずそなたを偲ぶ心をば 傾く月にたぐへてぞやる