人知れずそなたを偲ぶ心をば
傾く月にたぐへてぞやる
- 歌の意味
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人知れずあなたのいる方角を慕う心を、西へ傾いてゆく月に添えて送ることだ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1785
詞書「前僧都全真西国の方に侍りける時つかはしける」
月に寄せて心を詠む歌の五首目である。人知れずあなたのいる方を慕う心を、西へ傾く月に添えて送る、と詠む。詞書によれば、前僧都全真が西国の方にいたときに贈った歌で、西へ沈む月に、西国にいる相手を思う心を託している。
作者の「承仁法親王」は、後白河天皇の皇子で、天台座主となった。
初句「人知れず」は、人に知られないように、ひそかに、の意である。
二句「そなたを偲ぶ」は、あなたのいる方角を慕う、の意である。「そなた」は相手のいる西国の方をいう。
三句「心をば」は、その心を、の意である。「をば」で強く取り立てている。
四句「傾く月に」は、西へ傾いてゆく月に、の意である。月の沈む西と、相手のいる西国とが重ねられている。
結句「たぐへてぞやる」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「やる」で結ぶ係り結びである。月に心を添えて送るという趣向で、前の歌々に続いて月に寄せた思いを結んでいる。
たぐふ:添える。一緒に行かせる
- 作者
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承仁法親王
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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憂き世出でしつきひの影のめぐり来て 変はらぬ道をまた照らすらむ
- 次の歌
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みちのくのいはでしのぶはえぞ知らぬ 書き尽くしてよ壺の碑