来し方をさながら夢になしつれば
覚むるうつつのなきぞ悲しき
- 歌の意味
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過ぎ去った日々をそのまま夢と見なしてしまうと、そこから覚める現実というものもないのが悲しい。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1790
詞書は前の歌に続き「題しらず」
無常を詠む歌の四首目である。過ぎた日々をすべて夢と見なしてしまうと、そこから覚める現実もないことが悲しい、と詠む。人生そのものが夢であるならば、確かな現実はどこにもないという無常観を述べている。
作者の「権中納言資実」は藤原資実である。藤原兼光の子で、権中納言に至った。
初句「来し方を」は、過ぎ去った日々を、の意である。
二句「さながら夢に」は、そっくりそのまま夢と、の意である。
三句「なしつれば」は、見なしてしまうと、の意である。「つれ」は完了の助動詞「つ」の已然形で、「ば」とともに確定条件を表す。
四句「覚むるうつつの」は、夢から覚めて戻るべき現実の、の意である。
結句「なきぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」を受けて形容詞の連体形「悲しき」で結ぶ係り結びである。夢から覚めても戻る現実がないという逆説で、生そのもののはかなさを示している。
こしかた:過ぎ去った時。過去
うつつ:現実。目覚めている状態
- 作者
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藤原資実
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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何とかや壁に生ふなる草の名よ それにもたぐふ我が身なりけり
- 次の歌
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千年経る松だに朽つる世の中に 今日とも知らで立てる我かな