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憂きながら久しくぞ世を過ぎにける
あはれやかけし住吉の松

歌の意味
つらいながらも、長くこの世を過ごしてきたことだ。住吉の松よ、哀れみをかけてくれたのだろうか。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1793

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 松を詠む歌の三首目である。つらいながらも長く世を過ごしてきた、住吉の松が哀れみをかけてくれたのだろうか、と詠む。長寿を保ってきたことを、和歌の神として崇められた住吉の神の恵みかと思い、感謝している。
 作者の「皇太后宮大夫俊成」は藤原俊成である。藤原俊忠の子で、『千載和歌集』を撰んだ。藤原定家の父である。
 住吉は摂津国の地で、住吉の社は和歌の神として崇められた。社頭の松は長寿の象徴として詠まれる。

 初句「憂きながら」は、つらいながらも、の意である。
 二句「久しくぞ世を」は、長い間この世を、の意である。係助詞「ぞ」が三句の結びへ係る。
 三句「過ぎにける」は、係助詞「ぞ」を受けて助動詞「けり」の連体形「ける」で結ぶ係り結びである。長く生きてきたことを振り返り、ここで句切れとなる。
 四句「あはれやかけし」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「し」で結ぶ。哀れみをかけてくれたのか、の意である。
 結句「住吉の松」は、住吉の社の松で、住吉の神をも指す。前歌の住の江の松を受け、不遇を嘆いた前歌に対して、本歌は長寿を神の恵みとして受けとめている。

あはれをかく:哀れみをかける。情けをかける
作者
藤原俊成
出典
新古今和歌集
前の歌
数ならで世にすみの江の澪標 いつをまつともなき身なりけり
次の歌
春日山谷の埋もれ木朽ちぬとも 君に告げこせ峰の松風