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待たれつる入相の鐘の音すなり
明日もやあらば聞かむとすらむ

歌の意味
待たれていた入相の鐘の音がするようだ。明日もまた生きていたならば、この音を聞こうとするのだろうか。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1808

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 夕暮を詠む歌の三首目である。待っていた入相の鐘の音が聞こえる、明日もし生きていたらまたこの音を聞こうとするのだろうか、と詠む。一日の終わりを告げる鐘に、明日の命も知れない身の無常を思っている。
 作者の「西行法師」は、俗名を佐藤義清といい、鳥羽院に北面の武士として仕えたが、若くして出家した。諸国を旅して歌を詠み、家集に『山家集』がある。

 初句「待たれつる」は、待たれていた、の意である。「れ」は自発の助動詞で、おのずと待たれたことをいう。日暮れの勤めの時を告げる鐘である。
 二句「入相の鐘の」は、前歌の四句と同じ語で、日暮れの鐘をいう。
 三句「音すなり」の「なり」は、音によって推定する助動詞である。鐘の音が聞こえてくるようだ、の意で、ここで句切れとなる。
 四句「明日もやあらば」は、明日もまた生きていたならば、の意である。「や」は疑問の係助詞である。
 結句「聞かむとすらむ」は、係助詞「や」を受けて現在推量の助動詞「らむ」の連体形で結ぶ係り結びである。明日の命も知れない身であることを、鐘の音を聞くことに託している。

いりあひのかね:日暮れに寺でつく鐘
作者
西行
出典
新古今和歌集
前の歌
暮れぬめりいくかをかくて過ぎぬらむ 入相の鐘のつくづくとして
次の歌
暁とつげの枕をそばだてて 聞くも悲しき鐘の音かな