昔だに昔と思ひしたらちねの
なほ恋しきぞはかなかりける
- 歌の意味
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あの昔においてさえ、すでに遠い昔の人と思っていた親が、今なお恋しいのは、むなしいことであるよ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1815
詞書「百首歌よみ侍りけるに懐旧歌」
親しい人との間の情を詠む歌の五首目である。若い頃にさえすでに遠い昔の人と思っていた親が、老いた今もなお恋しいのはむなしいことだ、と詠む。幼くして別れた親への思慕が、年を経ても消えないことを述べている。詞書によれば、百首歌の中で懐旧の心を詠んだ歌である。
作者の「皇太后宮大夫俊成」は藤原俊成である。藤原俊忠の子で、『千載和歌集』を撰んだ。藤原定家の父である。
初句「昔だに」は、あの昔においてさえ、の意である。「だに」は、…でさえ、の意の副助詞である。
二句「昔と思ひし」は、遠い昔の人と思っていた、の意である。初句と二句とで「昔」を重ね、隔たりの深さを示している。
三句「たらちねの」は、ここでは親そのものを指す。本巻の第千八百十二首の「たらちね」に続き、親を思う歌が詠まれる。
四句「なほ恋しきぞ」は、今もなお恋しいのは、の意である。係助詞「ぞ」が結句へ係る。
結句「はかなかりける」は、係助詞「ぞ」を受けて助動詞「けり」の連体形「ける」で結ぶ係り結びである。年を経ても消えない親への思いをむなしいと言いつつ、その思いの深さを示している。
たらちね:母。親
くわいきう:昔を懐かしむこと
- 作者
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藤原俊成
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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位山跡を尋ねてのぼれども 子を思ふ道になほ迷ひぬる
- 次の歌
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ささがにのいとかかりける身のほどを 思へば夢の心地こそすれ