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ささがにのいとかかりける身のほどを
思へば夢の心地こそすれ

歌の意味
蜘蛛の糸がかかっているような、これほどはかない身のほどを思うと、夢のような心地がすることだ。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1816

詞書「述懐百首歌よみ侍りけるに」
 蜘蛛に寄せて身を詠む歌の一首目である。蜘蛛の糸がかかるように、これほど頼りない身のほどを思うと、夢のような心地がする、と詠む。蜘蛛の糸のはかなさに、自らの不遇な境遇を重ねている。詞書によれば、述懐の百首歌の中の歌である。
 作者の「俊頼朝臣」は源俊頼である。源経信の子で、『金葉和歌集』を撰び、歌論書『俊頼髄脳』を著した。

 初句「ささがにの」は、蜘蛛の異名で、「蜘蛛」「いと」などにかかる枕詞である。次歌も同じ初句で始まる。
 二句「いとかかりける」の「いと」は、蜘蛛の糸の意と、これほど、の意の副詞「いと」とを掛ける掛詞である。「かかり」も、糸が懸かる意と、このようである意とを重ねている。
 三句「身のほどを」は、わが身の境遇を、の意である。
 四句「思へば夢の」は、思うと夢のような、の意である。
 結句「心地こそすれ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「すれ」で結ぶ係り結びである。蜘蛛の糸のように頼りない身の上が、現実とは思えないほどであることを嘆いている。

ささがに:蜘蛛の異名
いと:蜘蛛の糸の意と、副詞の「いと」を掛ける
作者
源俊頼
出典
新古今和歌集
前の歌
昔だに昔と思ひしたらちねの なほ恋しきぞはかなかりける
次の歌
ささがにの空に巣かくも同じこと またき宿にもいくよかは経む