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光待つ枝にかかれる露の命
消えはてねとや春のつれなき

歌の意味
日の光を待って枝にかかっている露のようなわたしの命よ。すっかり消えてしまえというのか、春がつれないのは。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1818

詞書「題しらず」
 草木に寄せて思いを詠む歌の一首目である。日の光を待って枝にかかる露のような命なのに、春が冷淡なのは、すっかり消えてしまえというのか、と詠む。春の光を君の恩になぞらえ、恩に浴せない身の嘆きを述べたものと解されている。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「西宮前左大臣」は源高明である。醍醐天皇の皇子で、臣籍に下って左大臣に至ったが、安和の変で大宰権帥に左遷された。西宮に邸宅を構えたことからこう呼ばれる。

 初句「光待つ」は、日の光を待つ、の意である。光は春の日差しで、恩恵をたとえる。
 二句「枝にかかれる」は、枝にかかっている、の意である。「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。前歌の蜘蛛の巣から、枝にかかる露へと移る。
 三句「露の命」は、露のようにはかない命をいう。六音の字余りである。
 四句「消えはてねとや」は、すっかり消えてしまえというのか、の意である。「ね」は完了の助動詞「ぬ」の命令形、「や」は疑問の係助詞である。
 結句「春のつれなき」は、係助詞「や」を受けて形容詞の連体形「つれなき」で結ぶ係り結びである。光を待つ露に春が冷たいという形で、恩に浴せない身の嘆きを示している。

つれなし:冷淡である。素知らぬふりをする
作者
源高明
出典
新古今和歌集
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