古典和歌stream

秋風はすごく吹けども葛の葉の
うらみ顔には見えじとぞ思ふ

歌の意味
秋風はすさまじく吹くけれども、葛の葉が裏を見せるように、恨んでいる顔には見せまいと思っている。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1821

詞書「返し」
 草木に寄せて思いを詠む歌の四首目で、前歌への返歌である。秋風はすさまじく吹くけれども、葛の葉が裏を見せるような恨み顔は見せまいと思う、と答える。夫の冷たい仕打ちにも、恨みがましい態度は見せないという心を、前歌の葛の葉を受けて述べている。
 作者の「和泉式部」は、大江雅致の娘である。和泉守橘道貞の妻となったことからこの名で呼ばれる。為尊親王、敦道親王との恋で知られ、のちに上東門院彰子に仕えた。

 初句「秋風は」は、前歌の「葛の裏風」を受け、夫の冷たい心をたとえる。
 二句「すごく吹けども」は、すさまじく吹くけれども、の意である。「ども」は逆接の接続助詞である。
 三句「葛の葉の」は、前歌の結句の「葛」をそのまま受けている。
 四句「うらみ顔には」の「うらみ」は、葛の葉が裏を見せる意と、恨む意とを掛ける掛詞である。
 結句「見えじとぞ思ふ」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結ぶ係り結びである。「じ」は打消意志の助動詞で、恨み顔は見せまいという意地と慎みを示している。

すごし:すさまじい。ぞっとするほど寂しい
うらむ:葉の裏を見せる意と、恨む意を掛ける
作者
和泉式部
出典
新古今和歌集
前の歌
うつろはでしばし信太の森を見よ かへりもぞする葛の裏風
次の歌
小笹原風待つ露の消えやらず このひとふしを思ひおくかな