ひとかたに思ひとりにし心には
なほ背かるる身をいかにせむ
- 歌の意味
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一筋に思い定めてしまった心には、それでもなお背いてしまうこの身を、どうしたらよいのだろう。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1825
詞書は前の歌に続き「題しらず」
世を厭う心を詠む歌の三首目で、慈円の歌五首の三首目である。心は一筋に思い定めたのに、その心になお背いてしまう身をどうしたらよいのか、と詠む。心と身とが一致しない嘆きを述べている。
作者の「前大僧正慈円」は、藤原忠通の子で、九条兼実の弟にあたる。天台座主を四度務め、史論書『愚管抄』を著した。原文に作者名はなく、前歌から続く。
初句「ひとかたに」は、一つの方向に、一筋に、の意である。
二句「思ひとりにし」は、思い定めてしまった、の意である。「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
三句「心には」は、そのような心に対しては、の意である。
四句「なほ背かるる」は、それでもなお背いてしまう、の意である。「るる」は自発の助動詞「る」の連体形で、思わず背いてしまうことをいう。
結句「身をいかにせむ」は、この身をどうしたらよいのか、の意である。本巻の第千七百四十八首で西行が身を離れる心を詠んだのに対し、本歌は心に背く身を嘆いている。
ひとかた:一方。一筋
おもひとる:思い定める。決心する
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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世を厭ふ心の深くなるままに 過ぐる月日をうち数へつつ
- 次の歌
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何ゆゑにこの世を深く厭ふぞと 人の問へかしやすく答へむ