情けありし昔のみなほ忍ばれて
長らへまうき世にも経るかな
- 歌の意味
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人の情けのあった昔ばかりがやはり懐かしく思われて、生き長らえたくもないこの世に、なお過ごしていることだ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1842
詞書は前の歌に続き「題しらず」
昔と今とを思う歌の一首目である。人の情けのあった昔ばかりが懐かしく、生き長らえたくもない世に、なお日を送っている、と詠む。情けの失われた今の世を嘆き、昔を慕う心を述べている。
作者の「西行法師」は、俗名を佐藤義清といい、鳥羽院に北面の武士として仕えたが、若くして出家した。諸国を旅して歌を詠み、家集に『山家集』がある。
初句「情けありし」は、人の情けのあった、の意である。六音の字余りである。
二句「昔のみなほ」は、昔ばかりがやはり、の意である。
三句「忍ばれて」は、懐かしく思われて、の意である。「れ」は自発の助動詞で、次歌の「忍ばれむ」と響き合う。
四句「長らへまうき」は、生き長らえたくない、の意である。「まうし」は、…したくない、の意の助動詞である。次歌の初句「長らへば」とも対応する。
結句「世にも経るかな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。情けの失われた世に生き続ける身の嘆きで結んでいる。
なさけ:思いやり。人情
ふ:時を過ごす。世に暮らす
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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憂き世をば出づる日ごとに厭へども いつかは月の入る方を見む
- 次の歌
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長らへばまたこの頃や忍ばれむ 憂しと見し世ぞ今は恋しき