長らへばまたこの頃や忍ばれむ
憂しと見し世ぞ今は恋しき
- 歌の意味
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生き長らえたならば、つらいと思う今この頃も、また懐かしく思い出されるのだろうか。つらいと思っていた昔の世が、今は恋しいのだから。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1843
詞書は前の歌に続き「題しらず」
昔と今とを思う歌の二首目である。生き長らえたなら、つらい今この頃もまた懐かしく思い出されるのだろうか、かつてつらいと思った世が今は恋しいのだから、と詠む。過去が時を経て懐かしくなるという心の動きを、今の苦しみに当てはめて慰めとしている。『小倉百人一首』にも採られている。
作者の「清輔朝臣」は藤原清輔である。藤原顕輔の子で、歌学に通じ、『袋草紙』などの歌学書を著した。
初句「長らへば」は、生き長らえたならば、の意である。前歌の「長らへまうき」を受け、生き長らえることを仮定する。
二句「またこの頃や」は、また今この頃が、の意である。「や」は疑問の係助詞である。
三句「忍ばれむ」は、係助詞「や」を受けて推量の助動詞「む」の連体形で結ぶ係り結びである。前歌の「忍ばれて」と響き合い、ここで句切れとなる。
四句「憂しと見し世ぞ」は、つらいと思っていた昔の世が、の意である。係助詞「ぞ」が結句へ係る。
結句「今は恋しき」は、係助詞「ぞ」を受けて形容詞の連体形「恋しき」で結ぶ係り結びである。過去の実感を根拠に、今のつらさもやがて懐かしくなると推し量り、前歌の昔を慕う嘆きを受けとめている。
ながらふ:生き長らえる
しのぶ:懐かしく思い慕う
- 作者
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藤原清輔
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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情けありし昔のみなほ忍ばれて 長らへまうき世にも経るかな
- 次の歌
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末の世もこの情けのみ変はらずと 見し夢なくはよそに聞かまし