風早み荻の葉ごとに置く露の
おくれ先立つほどのはかなさ
- 歌の意味
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風が激しいので、荻の葉ごとに置いた露が、あるいは遅れ、あるいは先に散ってゆく、その間のはかなさよ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1849
詞書「題しらず」
無常を詠む歌の四首目である。風が激しいので、荻の葉ごとに置いた露が遅れたり先に散ったりする、その間のはかなさよ、と詠む。露の散る遅速に、人の死の遅速を重ね、どちらにしても消えてゆく命のはかなさを述べている。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「中務卿具平親王」は、村上天皇の皇子で、中務卿を務めた。学問と詩文に優れ、後中書王と呼ばれた。
「おくれ先立つ」は人の死の遅速をいう語で、僧正遍昭の「末の露もとの雫や世の中のおくれ先立つためしなるらむ」でも知られる。
初句「風早み」は、風が激しいので、の意である。「名詞+形容詞の語幹+み」で原因を表す。
二句「荻の葉ごとに」は、荻の一枚一枚の葉に、の意である。前歌の葦に続き、水辺や野の草に寄せる。
三句「置く露の」は、置いている露の、の意である。「置く」と四句の「おくれ」とが同じ音で響き合う。
四句「おくれ先立つ」は、後に残ったり先に散ったりする、の意である。露の散る遅速に、人の死の遅速を重ねている。
結句「ほどのはかなさ」は、その間のはかなさよ、の意である。体言止めで、遅いか早いかの違いにすぎない命のはかなさを示している。
をぎ:イネ科の草。秋風に葉音を立てる
おくる:後に残される。先立たれる
さきだつ:先に死ぬ
- 作者
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具平親王
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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津の国のながらふべくもあらぬかな 短き葦のよにこそありけれ
- 次の歌
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秋風になびく浅茅の末ごとに 置く白露のあはれ世の中