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秋風になびく浅茅の末ごとに
置く白露のあはれ世の中

歌の意味
秋風になびく浅茅の葉先ごとに置いた白露のように、はかなく哀れな世の中であることよ。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1850

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 無常を詠む歌の五首目で、蝉丸の歌二首の一首目である。秋風になびく浅茅の葉先ごとに置く白露のように、はかなく哀れな世の中だ、と詠む。風に揺れて今にも散りそうな露に、世のはかなさを重ねている。
 作者の「蝉丸」は、伝承上の歌人で、生没年や出自は確かでない。逢坂の関のほとりに住んだと伝えられる。

 初句「秋風に」は、秋の風に、の意である。前歌の激しい風を受けている。
 二句「なびく浅茅の」は、風になびく丈の低い茅の、の意である。
 三句「末ごとに」は、葉先ごとに、の意である。
 四句「置く白露の」は、置いている白露のように、の意である。前歌の「置く露」と同じく、露に命のはかなさを託す。ここまでが序詞の働きをし、結句を導く。
 結句「あはれ世の中」は、ああ、はかなく哀れな世の中よ、の意である。「あはれ」は感動詞とも形容動詞の語幹ともとれ、体言止めで、世のはかなさへの深い感慨を示している。

あさぢ:丈の低い茅
なびく:風などに従って横に揺れる
作者
蝉丸
出典
新古今和歌集
前の歌
風早み荻の葉ごとに置く露の おくれ先立つほどのはかなさ
次の歌
世の中はとてもかくても同じこと 宮も藁屋も果てしなければ