- 歌の意味
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天の幾重にも重なる雲を押し分けて降りて来られたあなたを、この私こそがお迎えしたのだ。
- 鑑賞
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巻第十九 神祇歌 1866
詞書「猿田彦」
日本紀竟宴で詠まれた歌を収める一連の二首目である。天の八重雲を押し分けて降りて来た君を、自分こそが迎えたと、猿田彦の立場で詠む歌である。詞書は題の「猿田彦」のみを記し、前歌に続いて日本紀竟宴で詠まれた歌である。天孫の降臨を出迎えた神の誇らかな名乗りとして詠まれている。
作者の紀淑望は、平安時代前期の儒者で、紀長谷雄の子である。『古今和歌集』の真名序の筆者として知られる。
猿田彦は、天孫の瓊瓊杵尊が天から降るとき、天の八衢で出迎えて道案内をしたと『日本書紀』に記される神である。
初句「久方の」は「天」にかかる枕詞である。
二句「天の八重雲」は、天に幾重にも重なる雲である。前歌が海から来た女神を詠んだのに対し、本歌は天から降る神を詠み、海と天からの来訪が対をなす。
三句「ふり分けて」は、押し分けて、の意である。
四句「下りし君を」の「君」は、天から降った瓊瓊杵尊を指す。過去の助動詞「き」の連体形「し」で、神代の出来事として語る。
結句「我ぞ迎へし」は、係助詞「ぞ」を過去の助動詞「き」の連体形「し」で結ぶ係り結びである。題の猿田彦になりかわって「我」と名乗り、出迎えた役目を誇らかに述べる。
やへぐも:幾重にも重なった雲
ふりわく:押し分ける
あめのやちまた:天上の道が幾筋にも分かれる所
- 作者
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紀淑望
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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白波に玉依姫の来しことは 渚やつひに泊りなりけん
- 次の歌
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飛びかける天の岩船尋ねてぞ 秋津島には宮はじめける