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やまとかも海に嵐の西吹かば
いづれの浦にみ舟繋がん

歌の意味
やまとかも。海に嵐が西から吹いたならば、どこの浦に御船をつなごうか。
鑑賞
巻第十九 神祇歌 1868

詞書「賀茂社の午日うたひ侍るなる歌」
 神事や祭りを詠む一連の一首目である。海に西から嵐が吹いたなら、どこの浦に御船をつなごうかと詠む歌である。詞書によれば、賀茂社で午の日に歌われるという歌である。神の御船を迎える港を思う、祭りの歌謡の趣をもつ。
 原文には作者名が記されておらず、前歌の作者の三統理平に続く歌として扱う。

 初句「やまとかも」は、意味の定まらない句で、歌謡の囃し詞のように置かれている。「大和」と賀茂の「かも」の音を含むが、平仮名のまま置く。
 二句「海に嵐の」は、海に嵐が、の意で、「の」は主格を示す。
 三句「西吹かば」は、西から吹いたならば、の意である。未然形に「ば」が付く仮定である。
 四句「いづれの浦に」は、どこの浦に、の意である。
 結句「み舟繋がん」は、御船をつなぎとめようか、の意である。「み」は尊敬の接頭語で、神の船をいうと読める。推量の助動詞「ん」で結ぶ。前歌の「天の岩船」と、神の乗る船を詠む点で続く。

うら:海岸の入り込んだ所、入江
みふね:船の尊称
作者
三統理平
出典
新古今和歌集
前の歌
飛びかける天の岩船尋ねてぞ 秋津島には宮はじめける
次の歌
置く霜に色も変はらぬ榊葉の 香をやは人のとめて来つらん