置く霜に色も変はらぬ榊葉の
香をやは人のとめて来つらん
- 歌の意味
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置く霜にも色の変わらない榊の葉の、その香りを人は尋ね求めて来たのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十九 神祇歌 1869
詞書「神楽をよみ侍りける」
神事や祭りを詠む一連の二首目である。霜が降りても色の変わらない榊葉の香りを、人は尋ねて来たのだろうか、と詠む歌である。詞書によれば、神楽を題に詠んだ歌である。神楽に集う人々を、常緑の榊の香を慕って訪れる者として詠んでいる。
作者の紀貫之は、平安時代前期の歌人で、『古今和歌集』の撰者の一人である。仮名序の筆者として知られる。
神楽歌の「榊葉の香をかぐはしみとめくれば八十氏人ぞまとゐせりける」を踏まえる。榊の香を求めて多くの人が集うという神楽歌の趣を、問いかけの形に転じている。
初句「置く霜に」は、降りた霜にも、の意である。冬の夜に行われる神楽の季節感を示す。
二句「色も変はらぬ」は、霜にも色の変わらない、の意である。常緑の榊の変わらぬさまに、神の永遠性を重ねる。
三句「榊葉の」は、神事に用いる榊の葉である。神楽で舞人が手に持つ採物の一つでもある。
四句「香をやは人の」の「やは」は疑問の係助詞で、結句で受ける。神楽歌の「香をかぐはしみ」を受ける。
結句「とめて来つらん」は、尋ね求めて来たのだろうか、の意である。完了の助動詞「つ」に現在推量の助動詞「らん」が付き、その連体形で「やは」を結ぶ。次歌も同じ作者の歌で、貫之の歌が二首並ぶ。
さかきば:榊の葉。神事に用いる常緑樹
とむ:尋ね求める
とりもの:神楽で舞人が手に持つ榊、幣などの品
- 作者
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紀貫之
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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やまとかも海に嵐の西吹かば いづれの浦にみ舟繋がん
- 次の歌
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宮人の摺れる衣に木綿襷 かけて心を誰に寄すらん