神風や御裳濯川のそのかみに
契りしことの末を違ふな
- 歌の意味
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御裳濯川の川上で、その昔に約束したことの行く末を、違えないでほしい。
- 鑑賞
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巻第十九 神祇歌 1871
詞書「大将に侍りける時、勅使にて太神宮に詣でて詠み侍りける」
伊勢の大神宮にかかわる歌を収める一連の一首目である。御裳濯川の川上で遠い昔に交わした約束を、末の世まで違えないでほしいと神に願う歌である。詞書によれば、作者が近衛大将であったとき、勅使として伊勢の大神宮に参って詠んだ。神代の約束を持ち出し、一門と朝廷の行く末の加護を祈っている。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。九条兼実の子で、摂政、太政大臣となった。『新古今和歌集』の仮名序を書いた。
御裳濯川は伊勢の内宮の境内を流れる五十鈴川の別名で、倭姫命が御裳の裾を濯いだことに由来すると伝えられる。
「契りしこと」は、藤原氏の祖神の天児屋命が天照大神と交わしたとされる、皇室を守り補佐する約束を指すと解されている。
なお本文の三句は「そのかみに」とあり、読み仮名の行の「そのかみよ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「神風や」は、「伊勢」にかかる枕詞「神風の」に由来し、伊勢の神域を示す語として置かれる。
二句「御裳濯川の」は、内宮を流れる五十鈴川の別名で、伊勢の歌枕である。
三句「そのかみに」の「そのかみ」は、川の「その上」すなわち川上と、遠い昔の意の「そのかみ」とを掛ける掛詞である。
四句「契りしことの」は、昔約束したことの、の意である。
結句「末を違ふな」は、行く末を違えるな、の意で、禁止の終助詞「な」で結ぶ。「末」は川の下流の意も響かせ、三句の「かみ」と上下で対応する縁語となる。次歌の「契りありて」と「契り」の語を共有し、同じ折の詠が並ぶ。
そのかみ:川の「その上」の意と、遠い昔の意の「そのかみ」を掛ける
みもすそがは:伊勢の内宮を流れる五十鈴川の別名
ちよくし:天皇の使い
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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宮人の摺れる衣に木綿襷 かけて心を誰に寄すらん
- 次の歌
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契りありて今日宮川の木綿鬘 長き世までもかけて頼まん