契りありて今日宮川の木綿鬘
長き世までもかけて頼まん
- 歌の意味
-
前世からの縁があって今日参った宮川で、木綿鬘を掛けるように、長い世の末までも心にかけて神を頼みにしよう。
- 鑑賞
-
巻第十九 神祇歌 1872
詞書「同じ時、外宮にて詠み侍りける」
伊勢の大神宮にかかわる一連の二首目である。前世からの縁で今日宮川に参り、木綿鬘を掛けるように、長い世までも心にかけて神を頼もうと詠む歌である。詞書によれば、前歌と同じ折に外宮で詠んだ歌である。前歌が神代の契りを持ち出したのを受け、自らの縁として神を長く頼む心を詠む。
作者の「藤原定家朝臣」は、藤原俊成の子の定家である。『新古今和歌集』の撰者の一人で、のちに『新勅撰和歌集』を単独で撰んだ。
宮川は伊勢の外宮の近くを流れる川で、参詣の人々はこの川を渡って神域に入った。
初句「契りありて」は、前世からの縁があって、の意である。六音の字余りである。前歌の「契りしこと」を受ける。
二句「今日宮川の」は、今日参った宮川の、の意である。外宮の近くを流れる川の名を置く。
三句「木綿鬘」は、木綿で作った髪飾りで、神事に仕える者が頭に掛ける。
四句「長き世までも」は、長い世の末までも、の意である。鬘の長さから「長き」を導く。
結句「かけて頼まん」の「かけて」は、鬘を「掛けて」と、心に「かけて」とを掛ける掛詞である。意志の助動詞「ん」で結ぶ。本巻の第千八百七十首の「かけて心を」と、神事の装いを掛けることに心を掛けることを重ねる点で通う。
ゆふかづら:木綿で作った髪飾り。神事に仕える者が掛ける
かく:鬘を「掛ける」意と、心に「かける」意を掛ける
ちぎり:前世からの因縁、約束
- 作者
-
藤原定家
- 出典
-
新古今和歌集
- 前の歌
-
神風や御裳濯川のそのかみに 契りしことの末を違ふな
- 次の歌
-
嬉しさも哀れもいかに答へまし 故郷人に問はれましかば