神風や豊御幣になびく四手
かけて仰ぐと言ふもかしこし
- 歌の意味
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神風に吹かれて、豊かな御幣になびく紙垂よ。その紙垂を掛けるように、心にかけて仰ぐと口にすることさえ恐れ多い。
- 鑑賞
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巻第十九 神祇歌 1876
詞書は前の歌に続き「太神宮の歌の中に」
伊勢の大神宮にかかわる一連の六首目である。神風に御幣の紙垂がなびくさまを詠み、神を心にかけて仰ぐと言葉にすることさえ恐れ多いと詠む歌である。前歌に続いて、大神宮を詠んだ歌の中の一首である。神への畏敬の深さを、言葉にすることへのためらいとして表している。
原文には作者名が記されておらず、前歌の作者の後鳥羽院に続く歌として扱う。
初句「神風や」は、本巻の第千八百七十一首、第千八百七十四首と同じ初句である。ここでは神風が御幣を吹きなびかせる景も兼ねる。
二句「豊御幣に」は、豊かでりっぱな御幣に、の意である。「豊」は美称である。
三句「なびく四手」は、風になびく紙垂、の意である。
四句「かけて仰ぐと」の「かけて」は、紙垂を「掛けて」と、心や言葉に「かけて」とを掛ける掛詞である。紙垂を掛けた御幣を仰ぐ姿に、神を心にかけて仰ぐことを重ねる。
結句「言ふもかしこし」は、口にするのも恐れ多い、の意である。前歌の「眺めばや」が神域の月を仰ぎ見たいと願ったのに対し、本歌は仰ぐと言うことさえ畏れ多いと慎み、同じ作者の二首が、見る願いと言葉の慎みとで対をなす。
みてぐら:神に捧げる幣帛。御幣
しで:玉串や注連縄に下げる紙や木綿
かく:紙垂を「掛ける」意と、心や言葉に「かける」意を掛ける
- 作者
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後鳥羽院
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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眺めばや神路の山に雲消えて 夕べの空を出でん月影
- 次の歌
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宮柱下つ岩根に敷き立てて 露も曇らぬ日の御影かな