古典和歌stream

宮柱下つ岩根に敷き立てて
露も曇らぬ日の御影かな

歌の意味
宮柱を地の底の岩盤にしっかりと立てた社に、少しも曇ることのない日の光が照っていることよ。
鑑賞
巻第十九 神祇歌 1877

詞書「題しらず」
 伊勢の大神宮にかかわる一連の七首目である。地の底の岩盤に宮柱をしっかりと立てた社殿に、少しも曇らない日の光が照ると詠む歌である。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。天照大神を日の光として仰ぎ、その恵みの曇りなさをたたえている。
 作者の「西行法師」は、俗名を佐藤義清という歌僧である。鳥羽院の北面の武士であったが、若くして出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。
 初句から三句は、大祓詞に見える「下つ岩根に宮柱太敷き立て」という神殿造営の定型表現による。

 初句「宮柱」は、神殿の柱である。
 二句「下つ岩根に」は、地の底の岩盤に、の意である。「つ」は「の」の意の古い格助詞である。
 三句「敷き立てて」は、しっかりと立てて、の意である。大祓詞の表現を用いて、揺るぎない神殿のさまを示す。
 四句「露も曇らぬ」の「露も」は、少しも、の意である。
 結句「日の御影かな」は、日の光であることよ、の意で、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。天照大神の光をたたえる。前歌が仰ぐと言うことさえ畏れ多いと慎んだのに続き、本歌は曇りない日の光を仰ぎたたえる。

いはね:大地に根を張った大きな岩
みかげ:光の尊称
しきたつ:しっかりと立てる
作者
西行
出典
新古今和歌集
前の歌
神風や豊御幣になびく四手 かけて仰ぐと言ふもかしこし
次の歌
神路山月さやかなる誓ひありて 天の下をば照らすなりけり