立ち返りまたも見まくのほしきかな
御裳濯川の瀬々の白波
- 歌の意味
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引き返して、また見たいものだなあ。御裳濯川の瀬ごとに立つ白波を。
- 鑑賞
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巻第十九 神祇歌 1881
詞書「公卿勅使にて帰り侍りける、一志の駅にて詠み侍りける」
伊勢の大神宮にかかわる一連の十一首目である。都へ帰る途中で、もう一度引き返して御裳濯川の瀬々の白波を見たいと詠む歌である。詞書によれば、公卿勅使として伊勢に参った帰り、一志の駅で詠んだ歌である。神域を離れがたい名残の思いを、川波に託している。
作者の「中院入道右大臣」は源雅定である。源雅実の子で、右大臣に至り、のちに出家した。
公卿勅使は、公卿の位にある者が天皇の使いとして伊勢の大神宮に遣わされるものである。一志の駅は伊勢国一志郡にあった宿駅で、伊勢と都を結ぶ道の途中にあたる。
初句「立ち返り」は、引き返して、の意である。寄せては返す波と縁があり、結句の「白波」と響き合う。
二句「またも見まくの」は、再び見ることが、の意である。「見まく」は「見む」を名詞化した形である。
三句「ほしきかな」は、望ましいことだなあ、の意で、詠嘆の終助詞「かな」で切れる三句切れである。
四句「御裳濯川の」は、内宮を流れる五十鈴川の別名である。本巻の第千八百七十一首と同じ川を詠む。
結句「瀬々の白波」は、あちこちの浅瀬に立つ白波、の意で、体言止めである。三句までの願いの対象を最後に置く倒置の形である。本巻の第千八百七十四首の「五十鈴川波」と、神域の川波を詠む点で通う。
せぜ:あちこちの浅瀬
うまや:宿駅。旅人が馬を替える所
みまく:見ること
- 作者
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源雅定
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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やはらぐる光にあまる影なれや 五十鈴川原の秋の夜の月
- 次の歌
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神風や五十鈴の川の宮柱 幾千代すめと立ちはじめけん