今日祭る神の心やなびくらん
四手に波立つ佐保の川風
- 歌の意味
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今日祭る神の心がなびいているのだろうか。四手に波を立てるように吹く、佐保川の川風よ。
- 鑑賞
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巻第十九 神祇歌 1896
詞書「文治六年女御入内屏風に、春日祭」
春日社を詠む一連の二首目である。四手を波立たせて吹く佐保川の川風に、今日祭る神の心がなびいているのかと思いやる歌である。詞書によれば、文治六年(1190)の女御入内の屏風に描かれた春日祭の場面を詠んだ歌である。風になびく四手に、祭りを受け入れる神の心を見ている。
作者の「入道前関白太政大臣」は九条兼実である。藤原忠通の子で、摂政、関白、太政大臣をつとめ、のちに出家した。日記『玉葉』を残した。
文治六年の女御入内は、作者兼実の娘の任子が後鳥羽天皇のもとに入内したことを指す。
佐保川は奈良の春日山のふもとを流れる川である。
初句「今日祭る」は、今日の春日祭で祭る、の意である。
二句「神の心や」は、神の御心が、の意で、係助詞「や」は三句で受ける。
三句「なびくらん」は、なびいているのだろうか、の意である。「や」を現在推量の助動詞「らん」の連体形で結び、ここで切れる三句切れである。神が祭りを喜び受け入れるさまを「なびく」という。
四句「四手に波立つ」は、四手を波のように揺り動かす、の意である。風に揺れる四手を波にたとえる。
結句「佐保の川風」は、佐保川を吹く風で、体言止めである。川の縁で「波立つ」と結びつく。本巻の第千八百八十九首も同じ屏風の臨時祭を詠んだ歌で、同じ入内屏風の祭りの歌が、賀茂と春日とに分かれて置かれる。
しで:玉串や注連縄に下げる紙や木綿
さほがは:奈良の春日山のふもとを流れる川
- 作者
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九条兼実
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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万代を祈りぞかくる木綿襷 春日の山の峰の嵐に
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天の下三笠の山の陰ならで 頼む方なき身とは知らずや