やはらぐる影ぞ麓に曇りなき
もとの光は峰にすめども
- 歌の意味
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和らげた光こそが、麓では曇りなく照っている。もとの光は峰に澄み、住んでいるけれども。
- 鑑賞
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巻第十九 神祇歌 1901
詞書「日吉社に奉りける歌の中に、二宮を」
日吉社を詠む一連の一首目である。本来の光は山の峰に澄んでいるが、和らげられた光こそが麓で曇りなく照っていると詠む歌である。詞書によれば、日吉社に奉った歌の中で、二宮を詠んだ歌である。仏が光を和らげて神となり、麓の人々を照らすことをたたえている。
原文には作者名が記されておらず、前歌の作者の慈円に続く歌として扱う。
日吉社は比叡山の東麓、近江国坂本に鎮座する神社で、延暦寺の守護神である。二宮は日吉社の社の一つで、比叡山の地主神を祀る。
初句「やはらぐる」は、光を和らげる、の意である。本巻の第千八百八十首の初句と同じ語で、仏が光を和らげて神として現れる考えを示す。
二句「影ぞ麓に」は、光こそが麓に、の意である。係助詞「ぞ」を三句の連体形「なき」で結ぶ。
三句「曇りなき」は、曇りのない、の意で、ここで切れる三句切れである。
四句「もとの光は」は、仏の本来の光は、の意である。
結句「峰にすめども」の「すめ」は、光が「澄め」と、仏が「住め」とを掛ける掛詞である。「峰」は比叡山を指し、麓の日吉社と上下で対をなす。本巻の第千八百五十二首の巻頭歌も日吉の神の歌で、巻の中で日吉が再び現れる。
すむ:光が「澄む」意と、仏が「住む」意を掛ける
ふもと:山のすそ
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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小塩山神のしるしを松の葉に 契りし色はかへるものかは
- 次の歌
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我が頼む七の社の木綿襷 かけても六つの道に返すな