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我が頼む七の社の木綿襷
かけても六つの道に返すな

歌の意味
私が頼みとする日吉の七社の神よ。木綿襷を掛けるように心にかけて、決して私を六道の迷いの世界に返さないでほしい。
鑑賞
巻第十九 神祇歌 1902

詞書「述懐の心を」
 日吉社を詠む一連の二首目である。頼みとする日吉の七社の神に、決して自分を六道の迷いの世界に戻さないでほしいと願う歌である。詞書によれば、述懐、すなわち心中の思いを述べることを題に詠んだ歌である。来世の救いを神に託す、切実な祈りを表している。
 原文には作者名が記されておらず、前歌の作者の慈円に続く歌として扱う。
 七の社は、日吉社の主要な七つの社をいい、日吉七社と呼ばれる。六つの道は、衆生が生死を繰り返してめぐる地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天の六道である。

 初句「我が頼む」は、私が頼みとする、の意である。
 二句「七の社の」は、日吉七社の、の意である。前歌の二宮から、日吉の七社全体へと広げる。
 三句「木綿襷」は、神事に仕える者が掛ける木綿の襷で、四句の「かけて」を導く。
 四句「かけても」は、襷を「掛けて」の意と、決して、の意の「かけても」とを掛ける掛詞である。
 結句「六つの道に返すな」は、六道に戻すな、の意で、禁止の終助詞「な」で結ぶ。二句の「七」に対して「六」を置き、数の対照によって神の世界と迷いの世界を対比する。

かけても:襷を「掛けて」の意と、決して、の意を掛ける
むつのみち:衆生が生まれ変わりを繰り返す六つの世界。六道
じゆつくわい:心中の思いを述べること。述懐と書く
作者
慈円
出典
新古今和歌集
前の歌
やはらぐる影ぞ麓に曇りなき もとの光は峰にすめども
次の歌
おしなべて日吉の影は曇らぬに 涙あやしき昨日今日かな