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おしなべて日吉の影は曇らぬに
涙あやしき昨日今日かな

歌の意味
日吉の神の光はあまねく曇りなく照っているのに、わけもなく涙のこぼれる、昨日今日であることよ。
鑑賞
巻第十九 神祇歌 1903

詞書は前の歌に続き「述懐の心を」
 日吉社を詠む一連の三首目である。日吉の神の光はあまねく曇りなく照っているのに、昨日今日はわけもなく涙がこぼれると詠む歌である。前歌に続いて述懐を題とした歌である。神の恵みの明るさと、晴れない自らの心とを対比している。
 原文には作者名が記されておらず、前歌の作者の慈円に続く歌として扱う。

 初句「おしなべて」は、すべて一様に、あまねく、の意である。
 二句「日吉の影は」は、日吉の神の光は、の意である。社の名の「日」に、日の光の意を響かせる。
 三句「曇らぬに」は、曇らないのに、の意である。接続助詞「に」が逆接を表す。本巻の第千九百一首の「曇りなき」と、日吉の光の曇りなさを詠む点で対応する。
 四句「涙あやしき」は、涙がわけもなく流れる、の意である。「あやし」は理由のわからない不思議さをいう。
 結句「昨日今日かな」は、昨日今日であることよ、の意で、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。神の光の曇りなさと、涙に曇る自らの目とが対照される。

かげ:光
作者
慈円
出典
新古今和歌集
前の歌
我が頼む七の社の木綿襷 かけても六つの道に返すな
次の歌
もろ人の願ひをみつの浜風に 心涼しき四手の音かな