- 歌の意味
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多くの人々の願いを満たすという三津の浜を吹く浜風に、心も涼しく鳴る四手の音であることよ。
- 鑑賞
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巻第十九 神祇歌 1904
詞書は前の歌に続き「述懐の心を」
日吉社を詠む一連の四首目である。多くの人の願いを満たすという三津の浜の浜風に、四手の音が心涼しく聞こえると詠む歌である。前歌に続いて述懐を題とした歌である。前歌の涙に沈む心から転じて、神が人々の願いをかなえることへの安らぎを表している。
原文には作者名が記されておらず、前歌の作者の慈円に続く歌として扱う。
三津の浜は、日吉社のある近江国坂本の琵琶湖岸の地である。
なお本文の初句は「もろ人の」とあり、読み仮名の行の「もろともの」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「もろ人の」は、多くの人々の、の意である。
二句「願ひをみつの」の「みつ」は、願いを「満つ」と、地名の「三津」とを掛ける掛詞である。
三句「浜風に」は、三津の浜を吹く風に、の意である。
四句「心涼しき」は、心がすがすがしくなる、の意である。浜風の涼しさと、願いが満たされる安らぎとを重ねる。
結句「四手の音かな」は、四手が風に鳴る音であることよ、の意で、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。前歌の「涙あやしき」の沈んだ心に対し、本歌は涼しく晴れた心を詠み、同じ述懐の二首が明暗の対をなす。本巻の第千八百九十首の「木綿四手の風に乱るる音冴えて」とは、風に鳴る四手の音を詠む点で通う。
みつ:願いを「満つ」意と、地名の「三津」を掛ける
しで:玉串や注連縄に下げる紙や木綿
もろびと:多くの人々
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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おしなべて日吉の影は曇らぬに 涙あやしき昨日今日かな
- 次の歌
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覚めぬれば思ひ合はせて音をぞ泣く 心つくしの古の夢