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榊葉の霜うち払ひかれずのみ
住めとぞ祈る神の御前に

歌の意味
榊の葉の霜を打ち払って、榊が枯れないように、人も離れることなくいつまでも住み続けよと、神の御前で祈ることだ。
鑑賞
巻第十九 神祇歌 1914

詞書「ある所の屏風の絵に、十一月神祭る家の前に、馬に乗りて人の行く所を」
 屏風絵の神祭りを詠む歌の一首目である。榊葉の霜を打ち払い、枯れることも離れることもなく住み続けよと、神の御前に祈ると詠む歌である。詞書によれば、ある所の屏風に描かれた、十一月に神を祭る家の前を人が馬に乗って行く場面を詠んだ歌である。絵の中の家の人々になりかわり、一家の永続を祈っている。
 作者の「能宣朝臣」は大中臣能宣である。伊勢の大神宮の祭主をつとめ、梨壺の五人の一人として『後撰和歌集』の撰進にあたった。
 陰暦十一月には、家々でも神を祭る行事が行われた。
 なお本文の四句は「住めとぞ祈る」とあり、読み仮名の行の「すめともいのる」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。

 初句「榊葉の」は、神に供える榊の葉の、の意である。
 二句「霜うち払ひ」は、霜を打ち払って、の意である。十一月の冬の神祭りの季節を示す。
 三句「かれずのみ」の「かれず」は、榊が「枯れず」と、人が「離れず」とを掛ける掛詞である。
 四句「住めとぞ祈る」は、住み続けよと祈る、の意で、係助詞「ぞ」を連体形「祈る」で結ぶ係り結びである。
 結句「神の御前に」は、神の御前で、の意である。四句の「祈る」の場所を後に置く倒置の形である。次歌の巻末歌も、屏風絵の神事を詠む歌である。

かる:榊が「枯る」意と、人が「離る」意を掛ける
みまへ:神仏の前の尊称
作者
大中臣能宣
出典
新古今和歌集
前の歌
住吉の浜松が枝に風吹けば 波の白木綿かけぬ間ぞなき
次の歌
河社しのにおりはへ干す衣 いかに干せばか七日干ざらん