河社しのにおりはへ干す衣
いかに干せばか七日干ざらん
- 歌の意味
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河社で、しきりに長く張り渡して干している衣は、どのように干すからといって、七日も乾かないのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十九 神祇歌 1915
詞書「延喜御時屏風に、夏神楽の心を詠み侍りける」
屏風絵の神祭りを詠む歌の二首目で、巻第十九の巻末歌である。河社でしきりに長く張り渡して干す衣が、どう干せば七日も乾かないのかと、いぶかる形で詠む歌である。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代の屏風に描かれた、夏神楽の場面を詠んだ歌である。川辺の神事に張り渡された布の景を、問いかけの形で印象づけている。
作者の紀貫之は、平安時代前期の歌人で、『古今和歌集』の撰者の一人である。仮名序の筆者として知られる。
河社は、夏に川のほとりや川の上に棚を設けて神を祀り、神楽を奏したものである。
初句「河社」は、川辺で神を祀る夏の神事の場である。
二句「しのにおりはへ」は、しきりに長く張り渡して、の意である。「しのに」は、しきりに、の意である。「おりはへ」は、長く引き延ばして、の意である。
三句「干す衣」は、干している衣で、ここで切れる三句切れである。
四句「いかに干せばか」は、どのように干すからか、の意である。係助詞「か」は結句で受ける。
結句「七日干ざらん」は、七日も乾かないのだろうか、の意である。「か」を推量の助動詞「らん」の連体形で結ぶ係り結びである。本巻の第千八百六十九首も貫之の神楽の歌で、冬の神楽の霜の歌に対し、巻末では夏の神楽の川辺の歌が置かれる。巻頭の第千八百五十二首が正月の子の日の小松で始まったのに対し、巻末は夏の神事で閉じられ、神祇の巻が季節の神事の景で始まり、終わる。
かはやしろ:夏に川辺に棚を設けて神を祀り神楽を奏する神事、またその場
おりはふ:長く引き延ばす
ひる:乾く
- 作者
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紀貫之
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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榊葉の霜うち払ひかれずのみ 住めとぞ祈る神の御前に
- 次の歌
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なを頼めしめぢが原のさせも草 わが世の中にあらんかぎりは