- 歌の意味
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浮草のたった一葉であっても、磯陰に隠れているものに思いをかけるな、沖の白波よ。
- 鑑賞
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巻第二十 釈教歌 1962
詞書「不偸盗戒」
十戒を詠む一連の二首目である。浮草のたった一葉でも、磯陰に隠れたものに思いをかけるなと、沖の白波に呼びかける歌である。詞書は、十戒のうちの不偸盗戒を題とする。
盗人の異名である「白波」に呼びかけ、たとえ取るに足らない物であっても、他人の物を盗もうと思ってはならないと戒めている。
作者名は原文になく、前歌に続いて寂然法師の歌である。寂然法師は、俗名を藤原頼業といい、藤原為忠の子である。兄の寂念、寂超とともに大原に隠棲し、大原三寂と呼ばれた。西行と親しく交わった。
不偸盗戒は、他人の物を盗むことを禁じる戒めである。「白波」は、盗賊の異称としても用いられる語である。
初句「浮草の」は、水面に漂う浮草で、取るに足らない物のたとえである。
二句「一葉なりとも」は、たった一枚の葉であっても、の意で、わずかな物でも盗んではならないことを強調する。
三句「磯がくれ」は、磯の陰に隠れていること、またそのものをいい、人の所有する物を示す。
四句「思ひなかけそ」は、「な…そ」の禁止の形で、思いをかけるな、の意である。波が磯に打ち「かける」ことと、思いを「かける」ことが重なっている。
結句「沖つ白波」は、沖に立つ白波で、盗人の異名でもある「白波」への呼びかけとなる体言止めである。浮草、磯、白波の海辺の景に、盗みの戒めを包んでいる。
いそがくれ:磯の陰に隠れること
しらなみ:白く立つ波。盗賊の異称としても用いる
- 作者
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寂然
- 出典
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新古今和歌集
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わたつ海の深きに沈むいさりせで 保つかひある法を求めよ
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さらぬだに重きが上に小夜衣 わがつまならぬつまな重ねそ