夢や夢うつつや夢とわかぬかな
いかなる世にか覚めんとすらん
- 歌の意味
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夢が夢なのか、現実が夢なのか、区別がつかないことよ。いったいどの世で、この夢から覚めようとするのだろうか。
- 鑑賞
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巻第二十 釈教歌 1972
詞書「維摩経十喩の中に、此身如夢といへる心を」
経文の句や法会にちなむ諸家の歌の一連の八首目で、この一連の結びの歌である。夢が夢なのか現実が夢なのか区別がつかず、いつの世に覚めるのだろうかと詠む歌である。詞書によれば、『維摩経』の十喩のうち、「此の身は夢の如し」という句の趣意を詠んだ歌である。
この身もこの世も夢のようにはかなく、迷いの夢から覚めて悟りに至るのはいつのことかと嘆く心が表れている。
作者の「赤染衛門」は、平安時代中期の女房歌人で、赤染時用の娘、大江匡衡の妻である。藤原道長の妻倫子や上東門院彰子に仕えた。
『維摩経』方便品には、この身のはかなさを、聚沫、泡、炎、芭蕉、幻、夢、影、響、浮雲、電の十のものにたとえる十喩が説かれる。
初句「夢や夢」は、係助詞「や」による疑問で、夢が夢なのか、と問う。前歌の「夢ぞ悲しき」に続き、「夢」の語でつながる配列である。
二句「うつつや夢と」は、現実が夢なのか、と問いを重ね、夢と現実の境を揺るがす。初句と二句で「夢」を三度繰り返している。
三句「わかぬかな」は、区別がつかないことよ、の意で、詠嘆の「かな」で三句切れとなる。
四句「いかなる世にか」は、係助詞「か」で、どの世で、と問う。この世ではなく、来世に悟りを求める心を示す。
結句「覚めんとすらん」は、「か」を受けて連体形「らん」で結ぶ係り結びで、覚めようとするのだろうか、と推し量る。経文の「夢の如し」を、夢から覚める願いへと転じて結んでいる。
うつつ:現実。目覚めている状態
わく:区別する。見分ける
- 作者
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赤染衛門
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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玉かけし衣の裏を返してぞ 愚かなりける心をば知る
- 次の歌
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常よりも今日の煙のたよりにや 西をはるかに思ひやるらん