常よりも今日の煙のたよりにや
西をはるかに思ひやるらん
- 歌の意味
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いつもよりも、今日の煙をよすがとして、あなたははるかな西の方を思いやっているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第二十 釈教歌 1973
詞書「二月十五日の暮れ方に、伊勢大輔がもとにつかはしける」
西方を思う贈答と月の歌の一連の一首目である。いつもより、今日の煙をよすがとして、はるかな西を思いやっているのだろうかと、伊勢大輔に問いかける歌である。詞書によれば、二月十五日の夕暮れに伊勢大輔のもとへ贈った歌である。
釈迦入滅の日に、荼毘の煙を思い起こしながら、仏の世界である西方へ友と心を通わせようとする心が表れている。
作者の「相模」は、平安時代中期の女房歌人で、相模守大江公資の妻であったことから相模と呼ばれた。
二月十五日は釈迦が入滅した日とされ、寺々で涅槃会が営まれる。「今日の煙」は、釈迦の亡骸を荼毘に付した煙を思わせる。
贈られた伊勢大輔は、大中臣輔親の娘で、上東門院彰子に仕えた女房歌人である。次歌の第千九百七十四首がその返歌である。
初句「常よりも」は、いつもよりいっそう、の意で、特別な日であることを示す。
二句「今日の煙の」は、釈迦入滅の日の煙で、荼毘の煙や、涅槃会の香の煙を思わせる。
三句「たよりにや」は、よすがとして、の意で、係助詞「や」による疑問である。
四句「西をはるかに」は、西方浄土、また釈迦の入滅した西の天竺を指し、はるかな距離を示す。
結句「思ひやるらん」は、「や」を受けて連体形「らん」で結ぶ係り結びで、相手の心を推し量る。返歌はこの「西」「今日」の語を受けている。
たより:よりどころ。よすが
おもひやる:遠くのものに思いを馳せる
- 作者
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相模
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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夢や夢うつつや夢とわかぬかな いかなる世にか覚めんとすらん
- 次の歌
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今日はいとど涙にくれぬ西の山 思ひいり日の影をながめて