西へ行くしるべと思ふ月影の
そらだのめこそかひなかりけれ
- 歌の意味
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西へ行く道しるべと頼みにしていた月の光が、空だけの当てにならない約束であったとは、なんとかいのないことか。
- 鑑賞
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巻第二十 釈教歌 1975
詞書「西行法師を呼び侍りけるに、まかるべきよしは申しながら、まうで来で、月の明かかりけるに、門の前を通ると聞きて、よみてつかはしける」
西方を思う贈答と月の歌の一連の三首目である。西へ行く道しるべと頼みにしていた月の光が、当てにならない空約束であったのはかいのないことだと詠む歌である。詞書によれば、西行法師を招いたところ、行くとは言いながら来ず、月の明るい夜に門の前を通り過ぎたと聞いて、詠んで贈った歌である。
西方浄土へ導いてくれると頼みにしていた西行が訪れなかったことを、月が空を過ぎ去ったことにたとえ、軽い恨みをこめて詠んでいる。
作者の「待賢門院堀河」は、神祇伯源顕仲の娘で、鳥羽天皇の中宮待賢門院に仕えた女房歌人である。
次歌の第千九百七十六首が西行の返歌である。
初句「西へ行く」は、西方浄土へ往生することを示すとともに、「西行」の名を詠み込んでいる。
二句「しるべと思ふ」は、道しるべと頼みにする、の意である。西行を往生への導き手と頼む心を示す。
三句「月影の」は、月の光で、西へ渡ってゆく月に西行をよそえている。
四句「そらだのめこそ」の「そら」は、月の渡る「空」の意と、当てにならない約束の意の「空頼め」を掛ける掛詞である。係助詞「こそ」で強める。
結句「かひなかりけれ」は、「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びで、かいのないことだった、と嘆く。次歌の西行の返歌は、この「空」と「月影」を受けて答えている。
そらだのめ:月の渡る「空」の意と、当てにならない約束の意の「空頼め」を掛ける
かひなし:効き目がない。むだである
- 作者
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待賢門院堀河
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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今日はいとど涙にくれぬ西の山 思ひいり日の影をながめて
- 次の歌
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立ち入らで雲間を分けし月影は 待たぬけしきや空に見えけん