惜しむから恋しきものを白雲の
たちなむ後はなに心地せむ
- 歌の意味
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別れを惜しんでいる今でさえこれほど恋しいのに、白雲が立つようにあなたが旅立ってしまった後は、どんな心地がするだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 371
詞書「人の馬のはなむけにて詠める」
まだ目の前にいる相手を惜しむだけで恋しいのだから、旅立った後はどれほどの思いになるだろうかと、別れの前から後の寂しさを思いやる歌である。詞書によれば、人を送る餞別の宴の席で詠まれたものである。
作者の「きのつらゆき」は紀貫之である。『古今和歌集』の撰者の一人で、仮名序を書き、後に土佐守となって『土佐日記』を著した。
初句「惜しむから」は、「から」が「〜するだけで」の意を表し、惜しむことそのものが恋しさを生むことを示す。
二句「恋しきものを」は、逆接の接続助詞「ものを」で、今でさえ恋しいのに、と下へ続ける。
三句「白雲の」は、「たつ」を導く語で、旅人の行く遠い空を思わせる。本巻では第三百七十九首、第三百八十首にも「白雲の」が用いられ、隔たりを表す景物として繰り返される。
四句「たちなむ後は」は、雲が「立つ」と旅に「立つ」を掛ける掛詞である。「なむ」は完了の助動詞「ぬ」の未然形と推量の助動詞「む」で、旅立ってしまうであろう後を想定する。
結句「なに心地せむ」は、疑問の「なに」と推量の「む」で、どんな気持ちになるだろうかと自問し、答えのない嘆きで結ぶ。
はなむけ:旅立つ人を送る宴、または餞別
たつ:雲が立つ意と、旅に立つ意を掛ける
ここち:気持ち、心持ち
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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かへる山ありとは聞けど春霞 たち別れなば恋しかるべし
- 次の歌
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別れては程を隔つと思へばや かつ見ながらにかねて恋しき