別れては程を隔つと思へばや
かつ見ながらにかねて恋しき
- 歌の意味
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別れてしまえば長い時が隔たると思うからだろうか、こうして一方で顔を見ていながら、もう前もって恋しいことだ。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 372
詞書「友達の人の国へまかりけるに詠める」
地方へ下る友人を前にして、別れた後の長い隔たりを思うせいか、まだ会っているうちから恋しくなると詠んだ歌である。前歌と同じく、別れの前から先の寂しさを感じ取る心を描いており、並べて置かれている。
作者の「在原しけはる」は在原滋春である。在原業平の次男で、在次君と呼ばれた。
初句「別れては」は、「ては」で仮定の条件を示し、別れた後を思い描く。
二句「程を隔つと」は、「程」が時間の隔たりを指す。第三百六十七首が空間の隔たりである「雲居のよそ」を詠むのに対し、ここでは時の長さを尺度とする。
三句「思へばや」は、已然形に「ば」がついた確定条件に係助詞「や」が加わり、そう思うからだろうか、と原因を推し量る。「や」の結びは結句の連体形「恋しき」である。
四句「かつ見ながらに」は、「かつ」が一方ではの意で、目の前に相手を見ていながら、という今の状況を示す。
結句「かねて恋しき」は、「かねて」が前もっての意で、別れる前からの恋しさをいう。三句の「や」を受けて連体形で結ぶ係り結びである。前歌の二句「恋しきものを」と「恋しき」の語を共有する。
ほど:時間や距離の隔たり
へだつ:間に置いて離す
- 作者
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在原滋春
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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惜しむから恋しきものを白雲の たちなむ後はなに心地せむ
- 次の歌
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思へども身をし分けねば目に見えぬ 心を君にたぐへてぞやる