あふさかの関しまさしきものならば
飽かず別るる君をとどめよ
- 歌の意味
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逢坂の関が、「逢ふ」という名のとおりに本当に人を逢わせる関であるならば、名残の尽きないまま別れていくあなたを引きとめてくれ。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 374
詞書「逢坂にて人を別れける時に詠める」
逢坂の関で旅立つ人と別れる際、関の名に「逢ふ」があるのなら、その名にたがわず別れゆく人をとどめよと関に呼びかけた歌である。関所が人の往来を止める場所であることと、地名の意味とを重ねた機知が見どころである。
作者の「なにはのよろつを」は難波万雄である。伝は詳らかでない。
初句「あふさかの」は、近江と山城の境にある逢坂の関の名に「逢ふ」を掛ける掛詞である。本巻の第三百九十首も「あふさか」を詠み、名に反して別れの場となる関を嘆く点で対応する。
二句「関しまさしき」は、強意の「し」で関を強め、「まさし」は名が実と一致する意で、名のとおりであるならばと条件を立てる。
三句「ものならば」は、仮定の条件を示し、下の句の命令へつなぐ。
四句「飽かず別るる」は、満ち足りないまま別れる意で、本巻の第三百九十六首、第四百首の「飽かずして別るる」と同じ趣の語を共有する。
結句「君をとどめよ」は、命令形「とどめよ」で関に直接呼びかけて結ぶ。関所が人を留める役目をもつことを踏まえた擬人法である。
あふさか:近江と山城の境にある逢坂の関の名と「逢ふ」を掛ける
せき:関所
とどむ:引きとめる
- 作者
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難波万雄
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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思へども身をし分けねば目に見えぬ 心を君にたぐへてぞやる
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唐衣たつ日は聞かじ朝露の おきてし行けば消ぬべきものを