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君が行く越の白山知らねども
雪のまにまに跡はたづねむ

歌の意味
あなたが行く越の国の白山を私は知らないけれど、雪の降るままに、その足跡をたどって訪ねて行こう。
鑑賞
巻第八 離別歌 391

詞書「大江千古が越へまかりける馬のはなむけに詠める」
 越へ下る大江千古の送別の宴で詠まれた歌である。行き先の白山を知らなくても、雪に残る足跡をたどって後を追おうと、どこまでも相手を慕う心を詠んでいる。雪の上の足跡という鮮やかな景を想像し、別れた後も心がついて行くことを表している。
 作者の「藤原かねすけの朝臣」は藤原兼輔である。藤原利基の子で、中納言に至り、賀茂川の堤に邸があったことから堤中納言と呼ばれた。紫式部の曾祖父にあたる。

 初句「君が行く」は、相手の旅路を示し、二句の行き先へつなぐ。
 二句「越の白山」は、越の国の歌枕である白山で、本巻の第三百八十三首と同じ山を詠む。そちらが雪を見に行けない嘆きであったのに対し、この歌は雪をたどって訪ねようとする意志を示し、対照をなす。
 三句「知らねども」は、「白山」の「しら」と同音を重ねて「知ら」を導き、逆接の「ども」で続ける。
 四句「雪のまにまに」は、「まにまに」が〜に任せての意で、雪の降るままに、雪に従っての意となる。
 結句「跡はたづねむ」は、意志の「む」で、足跡をたどって訪ねようと決意を示す。「跡」は雪の上の足跡と、相手の行方の両方を指す。

こし:北陸地方の古称
しらやま:加賀と越前の境にある白山。越の国の歌枕
たづぬ:探し求める、後を追って訪ねる
作者
藤原兼輔
出典
古今和歌集
前の歌
かつ越えて別れも行くかあふさかは 人頼めなる名にこそありけれ
次の歌
夕暮れの籬は山と見えななむ 夜は越えじと宿りとるべく