夕暮れの籬は山と見えななむ
夜は越えじと宿りとるべく
- 歌の意味
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夕暮れのこの垣根が、山のように見えてほしい。夜には越えられまいと、客人がここに宿をとるように。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 392
詞書「人の花山にまうで来て、夕さりつ方帰りなむとしける時に詠める」
遍昭の住む花山に人が訪ねて来て、夕方になって帰ろうとした時に詠まれた歌である。低い垣根が山に見えれば、客は夜に越えるのをためらって泊まっていくだろうと、客を引きとめたい思いを軽妙な見立てで表している。
作者の「僧正遍昭」は、俗名を良岑宗貞という僧である。桓武天皇の孫にあたり、仁明天皇に仕え、天皇の崩御に際して出家した。花山に元慶寺を開き、僧正に至った。六歌仙の一人である。
初句「夕暮れの」は、客が帰ろうとする時刻を示し、四句の「夜」へとつながる。この歌から第三百九十五首までは、山の寺を舞台とした僧の歌が並ぶ。
二句「籬は山と」は、「籬」が竹や柴で編んだ低い垣根の意で、それを山に見立てようとする。
三句「見えななむ」は、強意の「な」に願望の終助詞「なむ」がつき、見えてほしいと強く願う。ここで句切れとなる三句切れである。
四句「夜は越えじと」は、打消意志の「じ」で、客の心中を想定して、夜には越えまいと思うようにと述べる。
結句「宿りとるべく」は、「べく」が〜するようにの意で、三句の願いの目的を倒置して示す。
まがき:竹や柴などで粗く編んだ垣根
ゆふさりつかた:夕方
やどり:宿、泊まること
- 作者
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遍昭
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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君が行く越の白山知らねども 雪のまにまに跡はたづねむ
- 次の歌
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別れをば山の桜にまかせてむ とめむとめじは花のまにまに