別れをば山の桜にまかせてむ
とめむとめじは花のまにまに
- 歌の意味
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別れのことは山の桜に任せてしまおう。人を引きとめるか引きとめないかは、花の咲き具合しだいだ。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 393
詞書「山に登りて帰りまうで来て、人々別れけるついでに詠める」
比叡山に登って帰って来て、人々が別れる折に詠まれた歌である。別れるかどうかを山の桜に任せ、花が見事なら人は留まるだろうと、引きとめる役目を花に託している。執着を見せず、花に委ねる軽やかさがある。
作者の「幽仙法師」は、比叡山延暦寺の僧である。
初句「別れをば」は、格助詞「を」に係助詞「は」がついて濁った「をば」で、別れを取り立てて示す。
二句「山の桜に」は、別れを託す相手として山の桜を挙げる。次の第三百九十四首、第三百九十五首も山の桜に人を引きとめさせる趣向を詠み、桜による引きとめの一群をなす。
三句「まかせてむ」は、強意の「て」と意志の「む」で、任せてしまおうと決め、ここで句切れとなる三句切れである。
四句「とめむとめじは」は、意志の「む」と打消意志の「じ」を並べ、引きとめるか否かを対句的に示す。
結句「花のまにまに」は、花の意のままにの意で、花の咲きぶりしだいとして結ぶ。本巻の第三百九十一首の「雪のまにまに」と同じ語を共有する。
まうでく:参上する、やって来る
- 作者
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幽仙
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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夕暮れの籬は山と見えななむ 夜は越えじと宿りとるべく
- 次の歌
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山風に桜吹きまき乱れなむ 花のまぎれに立ちとまるべく