山風に桜吹きまき乱れなむ
花のまぎれに立ちとまるべく
- 歌の意味
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山風によって桜の花が吹き巻かれ、乱れ散ってほしい。散り乱れる花にまぎれて、帰ろうとする人が立ちとどまるように。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 394
詞書「雲林院の親王の舎利会に山に登りて帰りけるに、桜の花のもとにて詠める」
雲林院の常康親王が比叡山で催した舎利会に参列し、帰る途中の桜の下で詠まれた歌である。山風に桜が乱れ散れば、道が花にまぎれて人は立ちとどまるだろうと、別れを惜しむ心を桜の散り乱れる景に託している。
作者の「僧正へんせう」は遍昭である。俗名を良岑宗貞といい、桓武天皇の孫にあたる。花山に元慶寺を開き、僧正に至った。六歌仙の一人である。
初句「山風に」は、比叡山を吹く風で、花を散らす力として示される。
二句「桜吹きまき」は、「吹きまく」が風が巻き上げるように吹く意で、桜が舞い上がるさまを描く。
三句「乱れなむ」は、願望の終助詞「なむ」で、乱れ散ってほしいと願い、ここで句切れとなる三句切れである。
四句「花のまぎれに」は、散る花で辺りが見分けにくくなることをいう。本巻の第四百三首「いづれを道と惑ふまで散れ」も、散る花で道を分からなくして人を引きとめる同じ趣向をとる。
結句「立ちとまるべく」は、「べく」が〜するようにの意で、三句の願いの目的を倒置して示す。
しゃりゑ:仏舎利を供養する法会
ふきまく:風が巻き上げるように吹く
まぎれ:入りまじって見分けがつかないこと
- 作者
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遍昭
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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別れをば山の桜にまかせてむ とめむとめじは花のまにまに
- 次の歌
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ことならば君とまるべくにほはなむ 帰すは花の憂きにやはあらぬ