飽かずして別るる袖の白玉を
君が形見と包みてぞ行く
- 歌の意味
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名残惜しいまま別れる時、袖にこぼれた白玉のような涙を、あなたの形見として包んで持って行くのだ。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 400
詞書「題しらず」
名残を惜しみつつ別れる時、袖に落ちた涙の玉を相手の形見として包んで行こうと詠んだ歌である。涙を白玉に見立て、別れの悲しみそのものを相手を偲ぶよすがとして大切に持ち帰る心を表している。
作者は「よみ人しらず」とされ、名は伝わらない。この歌から第四百三首までは、題しらずの歌が四首並ぶ。
初句「飽かずして」は、満ち足りないまま、名残惜しいままの意で、第三百九十六首と同じ初句を共有する。
二句「別るる袖の」は、別れの場の袖を示し、涙の落ちる場所を導く。
三句「白玉を」は、真珠、白く美しい玉の意で、袖にこぼれた涙の見立てである。
四句「君が形見と」は、「形見」が別れた人を偲ぶよすがの意で、涙を相手の思い出の品とする。
結句「包みてぞ行く」は、係助詞「ぞ」と連体形「行く」の係り結びで、涙を袖に包んで持って行くと強く言い切る。
しらたま:真珠、白く美しい玉。ここでは涙の見立て
かたみ:別れた人を思い出すよすがとなるもの
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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別るれど嬉しくもあるか今宵より 相見ぬ先に何を恋ひまし
- 次の歌
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限りなく思ふ涙にそほちぬる 袖は乾かじ逢はむ日までに