かきくらしことは降らなむ春雨に
ぬれぎぬ着せて君をとどめむ
- 歌の意味
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空を暗くして、どうせなら降ってほしい、春雨よ。その雨に濡れた衣を着せ、それを口実にして、あなたを引きとめよう。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 402
詞書「題しらず」
春雨よ、空を暗くして降ってほしい、雨に濡れた衣を着せて、それを口実に相手を引きとめようと詠んだ歌である。「濡れ衣」に無実の罪の意を重ね、雨のせいにして人を帰さないという、機知に富んだ引きとめの趣向である。
作者は「よみ人しらず」とされ、名は伝わらない。
初句「かきくらし」は、空一面を暗くしての意で、雨雲が立ちこめるさまをいう。
二句「ことは降らなむ」は、「ことは」が同じことならの意で、願望の「なむ」で降ってほしいと願う。ここで句切れとなる二句切れである。本巻の第三百九十五首の「ことならば」と同じ趣の語を共有し、ともに自然に人の引きとめを託す。
三句「春雨に」は、季節を春と示し、雨を引きとめの手立てとする。
四句「ぬれぎぬ着せて」は、雨に濡れた衣と、無実の罪を着せる意の「濡れ衣」を掛ける掛詞である。雨に濡れたことを口実に、というたくらみを示す。
結句「君をとどめむ」は、意志の「む」で、引きとめようと結ぶ。本巻の第三百七十四首の結句「君をとどめよ」と語を共有し、そちらは関に命じ、こちらは自ら引きとめようとする。
かきくらす:空一面を暗くする
ぬれぎぬ:雨に濡れた衣と、無実の罪を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
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限りなく思ふ涙にそほちぬる 袖は乾かじ逢はむ日までに
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強ひて行く人をとどめむ桜花 いづれを道と惑ふまで散れ