下の帯の道はかたがた別るとも
行きめぐりても逢はむとぞ思ふ
- 歌の意味
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下紐の帯が左右に分かれてもまた前で結び合わされるように、道はそれぞれの方向に分かれても、巡り巡ってまた会おうと思う。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 405
詞書「道に逢へりける人の車にものを言ひつきて、別れける所にて詠める」
道で行き会った人の車に言葉をかけ、話を交わした後、別れる所で詠まれた歌である。下着の帯が体の後ろで左右に分かれても前で再び結ばれるように、道が分かれてもまた巡り会おうと、偶然の出会いと別れに再会の願いを込めている。
作者の「とものり」は紀友則である。紀貫之の従兄にあたり、『古今和歌集』の撰者の一人であったが、完成を見ずに没した。
初句「下の帯の」は、下着の帯の意である。帯が左右に分かれて体を巡り、また結ばれることから、二句以下の趣向を導く序詞となる。字余りの句である。本巻の巻末の歌であり、巻頭の第三百六十五首が「今帰り来む」と再会を約束して始まったのに対し、再会の願いで巻を閉じる呼応をなす。
二句「道はかたがた」は、「かたがた」があちらこちらの意で、帯の両端と、二人の行く道が分かれることを重ねる。
三句「別るとも」は、逆接仮定の「とも」で、たとえ別れてもと譲歩する。
四句「行きめぐりても」は、帯が体を巡ってまた結ばれるように、巡り巡っての意で、再会までの道のりを示す。
結句「逢はむとぞ思ふ」は、係助詞「ぞ」と連体形「思ふ」の係り結びで、また会おうと強く思う意志を示して結ぶ。
したのおび:下着の帯
ゆきめぐる:あちこちを巡る、巡り巡る
- 作者
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紀友則
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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結ぶ手の雫に濁る山の井の 飽かでも人に別れぬるかな
- 次の歌
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天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも