- 歌の意味
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都を出て、今日見るみかの原よ。泉川を渡ると川風が寒い。衣を貸してくれ、鹿背山よ。
- 鑑賞
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巻第九 羈旅歌 408
詞書「題しらず」
都から旅立った道中で、瓶原、泉川、鹿背山と山城国南部の地名を次々に詠み込み、川風の寒さを訴えた歌である。地名に掛詞を仕込みながら、旅の行程と身にしみる寒さを軽快な調子でたどっている。
地名を連ねて道のりをたどる構成は、古い時代の道行きの歌を思わせる。瓶原は奈良時代に恭仁京が置かれた地で、奈良と山城を結ぶ道筋にあたる。
作者の「よみ人しらず」は作者不明の意である。
初句「都出でて」は旅の起点を示し、六音の字余りとなっている。
二句「今日みかの原」は、「今日見」と地名「瓶原」を掛ける掛詞である。都を出たその日のうちに瓶原を見るところまで来たことを示す。
三句「泉川」は瓶原を流れる川で、現在の木津川にあたる。地名を重ねて旅の進行を描いている。
四句「川風寒し」は前句の「川」を受けて言葉をつなぎ、ここで句切れとなる。川を渡る風の寒さが旅の心細さを表している。
結句「衣かせ山」は、「衣貸せ」と地名「鹿背山」を掛ける掛詞で、体言止めである。寒いので衣を貸してほしいという願いを山の名に託した機知の表現である。前歌の第四百七首の結句「海人の釣舟」と同じく、呼びかけの形で一首を結んでいる。
みかのはら:「今日見か」の「見」と、山城国の地名「瓶原」を掛ける
いづみがは:山城国を流れる川、現在の木津川
かせやま:衣を「貸せ」の意と、山城国の地名「鹿背山」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ海人の釣舟
- 次の歌
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ほのはのとあかしの浦の朝霧に 島隠れ行く舟をしぞ思ふ