あなうめに常なるべくも見えぬかな
恋しかるべき香は匂ひつつ
- 歌の意味
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ああつらい、目にはいつまでも変わらずにあるようにも見えないことだ。後で恋しく思われるはずの香りは、今も匂い続けているのに。
- 鑑賞
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巻第十 物名 426
詞書「梅」
ああつらい、目にはいつまでも変わらずにあるようにも見えないことだ、恋しく思われるはずの香りは匂い続けているのに、と詠む歌である。初句の「あなうめに」に題の「うめ(梅)」を詠み込み、下の句では梅の香そのものを思わせて、物名の題と歌の内容を重ねている。花の盛りが長く続かないことを惜しむ心が中心にある。
作者は「よみ人しらず」で、名は伝わらない。
初句「あなうめに」は「あな憂、目に」で、ああつらい、目には、の意である。「あな憂」と「目に」にまたがる「うめ」に題の「梅」が隠されている。
二句「常なるべくも」は、いつまでも変わらずにあるはずだとも、の意で、「べし」は当然の意を表す。
三句「見えぬかな」は、そうは見えないことだ、と詠嘆する。ここで句切れとなる。
四句「恋しかるべき」は、後になって恋しく思われるはずの、の意で、散った後の思いを先取りしている。
結句「香は匂ひつつ」は、香りは匂い続けていながら、の意で、「つつ」によって余韻を残して終わる。梅の香を詠むことで、題の梅を歌の表にも浮かび上がらせている。
うめ:「あな憂、目に」の「憂」と「目」にまたがって、題の「梅」を詠み込む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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たもとより離れて玉を包まめや これなむそれとうつせみむかし
- 次の歌
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かづけども波のなかにはさぐられて 風吹くごとに浮き沈む玉