あふからもものはなほこそ悲しけれ
別れむことをかねて思へば
- 歌の意味
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逢うとすぐに、かえってなおさら物悲しくなる。いずれ別れることを前もって思うので。
- 鑑賞
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巻第十 物名 429
詞書「唐桃の花」
逢うとすぐに、かえってなおさら物悲しくなる、いずれ別れることを前もって思うので、と詠む歌である。初句から二句にかけての「あふからもものはな」に題の「からもものはな(唐桃の花)」を詠み込んでいる。逢瀬の喜びのさなかに別れを先取りして悲しむ恋の心理を、題の制約の中で自然に表している。前歌の「すもものはな」に続いて同じく「もものはな」を含む題が並び、題の語形の近さによる配列となっている。
作者の「ふかやふ」は清原深養父である。清少納言の曽祖父にあたり、琴の名手としても知られた。
初句「あふからも」は、逢うやいなや、の意で、「から」は、〜するとすぐに、を表す。ここから題の「からもも」が始まる。
二句「ものはなほこそ」は「物はなほこそ」で、物事はいっそう、の意である。初句と合わせた「からもものはな」に題が隠されている。係助詞「こそ」は三句の結びへとかかる。
三句「悲しけれ」は「こそ」を受けて已然形で結ぶ。ここで句切れとなる。
四句「別れむことを」は、いずれ別れるであろうことを、の意で、「む」は推量を表す。
結句「かねて思へば」は、前もって思うので、の意で、三句の悲しさの理由を倒置によって後から示している。
からもものはな:「あふからもものはなほこそ」にまたがって詠み込まれた題で、唐桃(杏)の花をいう
- 作者
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清原深養父
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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今いくか春しなければうぐひすも ものはながめて思ふべらなり
- 次の歌
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あしひきの山たちはなれ行く雲の 宿り定めぬ世にこそありけれ